フライホイール電力貯蔵システム(ACバッテリーシステム)は、
大きな鉄の円盤が回転する運動エネルギーとして電力を蓄えて、
必要な時に蓄積されたエネルギーを電力として放出するシステムです。
耐環境性に優れ、長寿命で堅牢であることが魅力です。
電圧安定化電源、瞬時電圧低下対策、パルスパワーの電源、
ガスエンジンと組み合わせた無瞬断の補助電源として、
様々な応用が期待されています。
フライホイールってなに?
フライホイールは内部の鉄の円盤が高速で回転することにより、電気エネルギーを回転運動エネルギーとして蓄積します。
その蓄積された運動エネルギーを、発電機によって電気エネルギーへ変換し、出力することができます。
とてもシンプルなシステムで、以下のような特徴があります。
- 100,000回以上のサイクルでも劣化することもありません
- 20年以上の長寿命です
- 鉄と発電機なので、環境負荷がとても少ないです
- エネルギー変換効率は 90% ~ 95% と高効率です
- 感電や爆発の危険がなく、安全です
- 充放電の時定数がキャパシタより長く、電池より短いです
どんなところに使われているの?
🔶電圧安定化 / 瞬時電圧低下対策のため
沖縄では、ROTESという大きなフライホイールが、沖縄電力系統の電圧安定化のために使われています。
フライホイール付き発電機は、並列に接続するだけで、接続された電力系統の周波数と電圧を安定化させます。
コンプレッサやポンプなどを起動する際には、電圧が低下することがあり、電気機器の故障などの原因になりますが、
フライホイール付きの発電機を並列に接続するだけで、電圧と周波数を一定に保とうとしてくれます。
🔶大電力パルスパワーの電源として
右図のフライホイールは九州大学の核融合実験装置向けパルスパワー電源用のフライホイール発電機です。 フライホイール付き誘導発電機は瞬時のパワーであれば発電機定格容量の3倍から4倍のパワーを出力することができるため、 安価で堅牢なパルスパワー電源として、世界でも広く用いられています。 例えば、電気自動車向けの急速充電や、粒子線治療などの電源にも応用が可能です。
エンジンと組み合わせた無瞬断の補助電源です。
普段は電圧の安定化に使われているフライホイール発電機ですが、
一秒以上の災害・電力系統障害による長期的な停電の際には、
クラッチを介してガスエンジンを起動させて、長期の電力供給をすることができます。
無瞬断でありながら、より長期間の電力供給が可能な災害向けソリューションです。
二次電池を用いた補助電源との違い
- 10kW以上の応用先では、二次電池を用いた場合より導入コストが安価になります
- ガスエンジンからエネルギーが供給されるため、プロパンガスがある限り電力供給が可能です
- 電池交換などの必要がありません
- 過負荷耐用が良好で、瞬時であれば定格の2倍から3倍を出力することができます
右の図は各補助電源の比較表です。
そもそも補助電源って必要なの?
電力系統の障害は、停電だけではなく、非常に短い時間に電圧が低下してしまう現象(瞬時電圧低下:瞬低)は、
電力品質の良い日本でも毎日生じています。
この瞬低は、とてもやっかいな問題で、製品の製造品質を落としたり、電気機器の故障の原因になっています。
たとえばUPSを備えていないPLCなどは、瞬低によってリセットがかかってしまう場合もあり、事業者は多大な損害を被ることがあります。
しかしながら、この瞬低は落雷などが原因で生じることもあり、発生自体を避けることができず、事業者側で対策を講じなければなりません。
この瞬低対策の最も安価で容易な対策は、まさにフライホイール発電機を並列に接続することです。
電源品質アナライザを用いて、電源品質、および電力使用状況を調査させていただき、
負荷平準化や、二次電池ないしはフライホイールバッテリーの導入などによって、
ピークシフトやピークカットによる契約電力の低減、電源品質向上の可能性を提案させていただきます。
日本国内の電源品質は?
日本国内は他国比べて年間の停電時間は少ないのですが、
落雷などの自然現象によって瞬低(瞬時電圧低下)は、頻繁に起こっています。
電気協同研究会によると2003年6月から2004年3月にかけて全国102サイトを対象にした調査結果では、
1年間1サイトあたり9.1回発生しているという結果が公表されています。
そして、これらの瞬低が電気機器の故障や、製品製造品質を下げる原因の一つになっています。
使用時の流れ
設置からデータ取得までの流れは次のようになっています。
- 現地調査、およびお見積り
- 現地に電源品質アナライザを設置
- 現地でVPNサーバーの入ったルーターを設置
- VPNルーターにSIMを挿すか、モバイルルーターを調達
- インターネットを介してデータを取得し、データサーバに保存
- 蓄積されたデータをもとに、補助電源の選定や、ピークカットによる電力契約料金の低減をご提案
Bluetooth を用いて、スマートフォンやPCから、太陽光発電をパネルごと停止させることができます。
太陽光発電パネルは光が当たると発電してしまい、接続ケーブルには高い電圧がかかっています
(たとえば、10枚の太陽光発電パネルが直列に接続されている場合、定格出力時には、400Vの直流電圧が発生しています)。
火事や事故が生じた有事の時に、消防士や作業者が感電する恐れがあるために、日中は消火作業ができないという実態があり、
この安全スイッチを搭載していれば、消火作業だけでなく、メンテナンス作業の場合でも、発電を停止させることができます。
太陽光発電パネルは安全対策が必要です
太陽光発電パネルは太陽光があたると電圧を発生してしまいます。 そのため、火災などが生じたときには感電の恐れがあるために、水などで消火活動をすることができません。 2019年7月1日の SOLAR JOUNL の記事に消防庁消防研究センター技術研究部室長田村氏のコメントが紹介されています。 この記事では、太陽光発電パネルの発電を停止できない問題について指摘されています。
直流遮断器は、スイッチングの際に、アークが生じてしまうため、接点が摩耗してしまい、信頼性の上で課題がありました。
私たちは、発生するアーク電圧をゲート信号に用いて、半導体スイッチにアークを転流させることで、アークレスの直流スイッチを開発しました。
この技術によって、たとえば、交流用のリレーの容量で、直流を遮断できるようになり、スイッチの小型化と信頼性の向上を実現しました。
太陽光発電や電気自動車など、世の中で直流を扱う機会が増えてきていますが、大容量化の一つの課題は遮断器にありました。
このスイッチは直流応用における遮断器の最適解だと私たちは考えています。
直流スイッチって何がすごいの?
大きな直流電流を遮断しようとすると、アークが生じてしまいます。
アークはスイッチをオフにするときに発生する花火のことで、接点の摩耗が激しくなってしまいます。
そのため今までは、磁気やガスを用いて吹き飛ばす方式が使われてきました。
しかし、その方式だと次のような欠点があります。
- スイッチが高価になる
- スイッチが大きくなる
- 信頼性に問題がある
直流ハイブリッドスイッチは交流スイッチに取り付けるだけで,
同容量の直流が遮断できるようになる、革新的なスイッチです。